網膜色素変性症は網膜の神経細胞が死んでしまうことで生じる眼の病気です。
3,000~8,000人に一人の割合で発症します。
網膜色素変性症によって障害年金の受給が可能です。
一方で眼の障害の場合には障害認定基準が明確に定められていますので病状が障害認定基準に該当することが障害年金受給の条件となります。
目次
網膜色素変性症とは
網膜色素変性症は前述のとおり網膜の神経細胞が死んでしまうことで生じる病気です。
症状
網膜色素変性症の症状は夜盲、視野狭窄、視力低下、まぶしいなどの症状で初期症状は夕方暗くなるとよく見えなくなる、暗い部屋に入った時にものが見えなくなる「夜盲」が初期症状として現れると言われています。
また視力低下よりも視野狭窄の症状が初期段階で多く現れ、症状の進行が遅いのが特徴です。
原因
網膜色素変性症は遺伝子の異常によって発症する病気と言われています。
網膜色素変性症による障害年金の受給
網膜色素変性症により障害年金の受給資格を満たすためには初診日を特定し、特定された初診日を基準に保険料の納付要件を満たし、病状が障害認定基準に定められた等級に該当する必要があります。
初診日の特定
網膜色素変性症による初診日
障害年金の手続きにおける初診日とは網膜色素変性症の症状によって初めて医師の診断を受けた日をいいます。
網膜色素変性症と診断された日ではなく、網膜色素変性症の症状が出て初めて医師の診断を受けた日が初診日となります。
網膜色素変性症が先天的な病気と判断された場合には、障害基礎年金(20歳前傷病による障害基礎年金)の対象となり2級以上に該当しない場合は障害年金を受給できない場合があります。
先天性か否かは診断書、病歴就労状況等申立書、アンケートなどによって判断されます。
初診日の特定方法
一般的には初めて受診した病院に受診状況等証明書(初診日の証明書)の作成を依頼し、初診日の特定を行いますが初診日の病院と現在受診している病院が同じ病院の場合には診断書の初診日の欄(診断書③欄)に初診日の日付を記載してもらうことで初診日の特定を行うことができます。
また初診日の病院にカルテが残っていない場合や病院自体が廃院している場合にはカルテ以外の客観的な資料(診察券、レセプト等)により初診日を特定する必要があります。
また、初診日が20歳以前の場合には初診日の受診について事情を知っている三親等内の親族以外の方に初診日に関する第三者からの申立書を作成してもらうことで初診日の特定を行うことができます。
保険料の納付要件を満たすこと
障害年金を受給するためには保険料の納付要件を満たす必要があります。
保険料の納付要件は国民年金保険料を初診日のある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上支払っている(免除を受けている)か、直近の1年間に未納がない場合に要件を満たすといえます。
障害認定基準の等級に該当する病状
網膜色素変性症の障害認定基準
1級・・・両眼の視力の和が0.04以下のもの
2級・・・両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの又は両眼の視野が5度以内のもの
3級・・・両眼の視力が0.1以下に減じたもの
障害手当金・・・両眼の視力が0.6以下に減じたもの、又は一眼の視力が0.1以下に減じたもの又は両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの
両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
視野はゴールドマンサックス視野計及び自動視野計またはこれ準ずるものを用いて測定する。
ゴールドマン視野計を用いる場合、中心視野の測定には1/2の視標を持ち、周辺視野の測定には1/4指標をを用いる。
それ以外の測定方法による時はこれに相当するを指標を用いることとする。 障害認定要領より
診断書の重要性
担当医師が作成する診断書は障害年金の手続きにおいて最も重要な書類といえます。
このため、担当医師に診断書の作成を依頼する際は、現在の病状が診断書に反映されるように事前にメモ書きなどを作り、医師に手渡すなどの工夫が必要です。
病歴就労状況等申立書の作成
障害年金に必要な書類のうち自身で作成しなければならない書類が病歴就労状況等申立書です。
病歴就労状況等申立書は診断書がその時々の病状を記載した「点」の役割を果たす一方、その「点」と「点」をつなぐ「線」の役割を果たします。
このため、「発症」から現在までの病状や受診状況、就労状況等について過不足なく記載する必要があります。
また、先天的な網膜色素変性症の場合は「出生」から現在までの様子を記載する必要があります。