対象傷病

先天性心疾患による障害年金の受給のための5つのポイント

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先天性心疾患とは生来的に心臓に何らかの異常がある疾患です。

先天性心疾患もそのご病状により障害年金の対象となる疾患(障害)です。

目次

先天性心疾患とは

特徴

先天性心疾患とは生来的に心臓に異常がある疾患で1000人に6人~10人に先天性の異常が認められると言われています。

先天性心疾患には心室中隔欠損症、肺動脈狭窄症、心房中隔欠損症、動脈管開存症、大動脈縮窄・離断、ファロー四徴症などの種類があります。

原因

先天性心疾患の原因は単一遺伝病、染色体異常、先天感染(風疹など)、環境因子(母親の糖尿病、薬剤など)などが要因として挙げられますが先天性心疾患の原因は一つではなく遺伝的要因や環境的要因が複合的に作用し発症すると言われています。

症状

赤ちゃんの呼吸が早くなる、ミルクがあまり飲めない、体重が増えないなどの症状が出ます。

先天性心疾患による障害年金の受給

先天性心疾患の初診日

初診日の原則と重要性

原則として障害年金の手続きにおいて初診日とは初めて医師の診断を受けた日をいます。

初診日を特定する作業は障害年金の手続きにおいては大変重要な意味を持ちます。

初診日を特定することで特定された初診日を基準に保険料の納付要件が審査され、また初診日の時点で加入していた年金により厚生年金に加入していた場合には障害厚生年金、国民年金に加入していた場合には障害基礎年金から障害年金が支給されます。

先天性の疾患の初診日

知的障害のように先天性の疾患の場合には生まれた日(誕生日)が初診日となる障害もあります。

一方で、先天性の疾患の場合でも原則通り初めて医師の診断を受けた日が初診日となる障害もあります。

先天性心疾患の場合には先天性の障害ではありますが、原則通り初めて医師の診断を受けた日が初診日となります。

このことから、多くの場合は未成年の段階で医師の診断を受けていることから、その日が初診日となり二十歳前傷病による障害基礎年金として国民年金から障害年金が支給されます。

社会的治癒による初診日の変更

一方で、未成年の段階で心臓手術を行い、その後通常の生活を送っていた後に成人後再び何らかの症状が表れる場合があります。

この場合には手術から成人後症状が現れるまで医学的には完治していない場合でも、障害年金の手続きにおいては完治したものとして成人後に症状が出て再受診した日を初診日として認められる場合があります(社会的治癒)。

この場合、再受診した際に会社員などで厚生年金に加入している場合は障害厚生年金の対象となるため障害厚生年金3級に該当する場合は比較的軽度の障害の場合にも障害年金を受給できる場合があります。

また、障害厚生年金2級以上の場合には障害基礎年金に比べ高額の年金を受給できる場合もあります。

このことから先天性の疾患の場合にもまた、未成年の段階で初めて医師の診断を受けている場合にも一旦症状が治まり受診を行っていない期間が長期間に及ぶ場合には初診日が変更される場合がありますので注意が必要です。

障害認定基準に該当する病状

障害年金を受給するためには病状が障害認定基準によって定められた等級に該当する必要があります。

障害認定基準

肥大型心筋症による障害年金の審査は下記の【異常検査所見】【一般状態区分表】【NYHA分類】を基準に判断されます。

【異常検査所見】

A.安静時の心電図において0.2mV以上のSTの低下もしくは0.5mV以上の深い陰波T波(aVR誘導を除く)の所見のあるもの。

B.負荷心電図(6Mets未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの

C.胸部 X 線上で心胸郭係数60%以上または明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの

D.心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの

E.心電図で重症な頻脈性または徐脈性不整脈所見のあるもの

F.左室駆出率(EF)40%以下のもの

G.BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が、200pg/mL相当を超えるもの

H.重症冠動脈狭窄病変で左幹部に50%以上の狭窄、或いは3本の主要冠動脈に75%以上の狭窄を認めるもの

I.心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ今日まで狭心症状を有するもの

【一般状態区分表】

ア.無症状で社会活動ができ制限を受けることなく発病前と同等に振る舞えるもの。

イ.軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。例えば軽い家事・事務など

ウ.歩行や身の回りのことはできるが時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの。

エ.身の回りのある程度のことはできるがしばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており自力では屋外への外出がほぼ不可能なもの。

オ.身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの。

【NYHA分類】

NYHA分類はニューヨーク心臓協会が定めた心不全の症状の程度の分類であり、以下のように心不全の重症度を4種類に分類するものである。

Ⅰ度・・・心疾患があるが症状はなく通常の生活は制限されないもの。

Ⅱ度・・・心疾患患者で日常生活が軽度から中等度に制限されるもの。安静時には無症状だが、普通の行動で疲労、動悸、呼吸困難、狭心痛を生じるもの。

Ⅲ度・・・心疾患患者で日常生活が高度に制限されるもの。安静時は無症状だが、平地の歩行や日常生活以下の労作によっても症状が生じる。

Ⅳ度・・・心疾患患者で非常に軽度の活動でも何らかの症状を生ずる。安静時に於いても心不全・狭心症症状を生じることもある。

【障害認定基準】

1級・・・障害が重篤で安静時においても心不全の症状(NYHA心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表 の(オ)に該当するもの

2級・・・①異常検査所見のFに加えて病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ一般状態区分表の(ウ)または (エ)に該当するもの

②異常検査所見の A、B、C、D、Eのうち二つ以上の所見かつ、心不全の病状を表す臨床所見が5つ以上ありかつ一般状態区分表の(ウ)又は(エ)に該当するもの

3級・・・①EF値が50%以下を示し病状を表す臨床所見が二つ以上ありかつ一般状態区分表の(イ)又は(ウ)に該当するもの

②異常検査所見のうちA、B、C、D、E、Gのうち1つ以上の所見、かつ、心不全の病状を表す臨床所見が2つ以上ありかつ一般状態区分表の(イ)又は(ウ)に該当するもの

※肥大型心筋症は心室の収縮は良好に保たれるが、心筋肥大による心室拡張機能障害や左室流出路狭窄に伴う左室流出路圧較差などが病態の基本となっている。

従って、EF値が障害認定にあたり参考とならないことが多く、臨床所見や心電図所見、胸部エックス線検査、心臓エコー検査所見なども参考として総合的に障害等級を判断する。

国民年金・厚生年金法別表(認定要領)より

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