障害年金の審査が通らずに不支給となってしまったり更新時に支給が停止や等級が下がってしまい途方に暮れてしまう方が多くいらっしゃいます。
一方で障害年金のお手続きは再度申請することが可能な場合があります。
再申請が可能な場合にはお手続きを行うことで障害年金の受給が可能となったり停止してしまった年金が再開する(下がってしまった等級が元に戻る)場合があります。
目次
障害年金が不支給となる場合
初診日が特定できていない場合
障害年金の申請が不支給となる原因としてまず初めに初診日を特定できていない場合を挙げることができます。
障害年金のお手続きにおいて初診日を特定する作業は最も重要な作業の一つですので初診日を特定できていない場合には、障害年金の申請が不支給(却下)となってしまいます。
初診日が特定できていないケースとしては提出した受診状況等証明書に前医の記載がある場合や、そもそも受診状況等証明書を提出できないために受診状況等証明書が添付できない申立書を提出し、その他の客観的な資料を提出することができなかった場合などを挙げることができます。
初診日についてはさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください→障害年金の請求で初診日が重要な5つの理由
保険料の納付要件を満たしていない
次に障害年金の受給要件の一つである保険料の納付要件を満たしていない場合があります。
障害年金を受給するためには初診日を基準に一定の国民年金保険料を支払っている必要があります。
国民年金保険料を一定期間支払っていない場合には、障害年金の受給要件を満たさないために障害年金の申請は不支給(却下)となってしまいます。
ご病状が障害年金の認定基準に該当しない場合
ご病状を記載した診断書の内容が障害年金の認定基準によって定められた等級に該当しない場合には、障害年金の申請は不支給(程度不該当)となってしまいます。
また、更新時に提出した診断書(障害状態確認届)の内容が障害年金の認定基準によって定められた等級に該当していない場合にも障害年金が不支給(年金が停止、または等級が下がる)となってしまいます。
障害年金の再申請は1年を待たなくても可能
別の疾病で再申請する場合
現在受給中のご病気(障害)とは別のご病気が発症した場合には再度障害年金の申請を行うことができます。
仮に別のご病気で障害年金の受給が認められた場合には二つの障害年金を受給することができるのではなく併合認定となり、基準に従って上位の等級の障害年金を1つ受給できるようになります。
初めて申請して不支給となった場合再申請
障害年金を初めて申請して不支給(却下)となった場合には、その後1年を待たなくても再申請をすることが可能です。
ただ同じように再申請してもまた不支給となってしまう可能性が高いと思われますので上記の例で言えば、初診日の特定ができていなかった場合は新たに受診状況等証明書を提出したり他の客観的資料を提出することで初診日の特定を行うことで受給が可能となります。
一方で、初診日の時点で保険料の納付要件を満たしていない場合には再申請を行ったとしても審査が通る可能性はほとんどありません。
この場合には前回の申請時の初診日とは異なる初診日を探ることによって再申請を行うことができる場合もあります(前回の申請時の初診日よりも以前に病院を受診していたことが分かり、その日を初診日とすることによって保険料の納付要件を満たす場合があります。)
さらに、病状が認定基準によって定められた等級に該当しないことをもって不支給となった場合(程度不該当)にも新たに現在の病状を記載した診断書を提出することで1年を待つことなく再申請することができます。
更新時に不支給が決定された場合の再申請
支給が停止された場合
更新時(障害状態確認届の提出)に障害年金の支給が停止されてしまった場合には1年を待つことなく、新たに現在の病状を記載した診断書を提出することで再申請を行うことができます。
この場合には1年を待つことなく再申請(支給停止事由消滅届の提出)を行うことが出来ます。
当該ケースについて詳しくはこちらをご参照ください→障害年金が支給停止(止まった)となった場合
等級が下がった場合の再申請
1級から2級または2級から3級というように等級が下がってしまった場合には診断書を提出した月の3ヶ月後の月の1日から数えて1年後以降に再申請(額改定請求)を行うことができます。
この場合は他の不支給後の再申請と異なり1年待たなければ再申請を行うことが出来ません。
再申請以外の方法
再申請以外の最もポピュラーな方法は審査請求を行う方法です。
審査請求は地方厚生局に所属する社会保険審査官に決定の内容をもう一度審査してもらう制度です。
審査請求は当該申請を再度審査してもらうという制度ですので診断書を新たに提出するということは原則としてできません(医師の意見書等は提出することは出来ます)。
審査請求について詳しくはこちらをご覧ください→障害年金の審査請求について【請求書の書き方・期限】
更に審査請求が認められなかった場合には再審査請求、また別のお手続きとして訴訟を行うことが出来ます。
再申請する場合の3つの注意点
不支給となった理由を確認する
障害年金の再申請を行う場合には、まず始めに不支給となってしまった理由を確認する必要があります。
不支給となってしまう理由は上記のように①初診日の特定が行われていない場合、②保険料の納付要件を満たしていない場合、③ご病状が認定基準によって定められた等級に該当していない場合などが考えられます。
不支給となった理由を確認することで再申請を行う際に対策をとることが可能となります。
不支給となった理由は送付されてきた「決定書」に概略が記載されていますのでまずは決定書を確認します。
「決定書」をなくしてしまった場合やさらに詳しい理由を知りたい場合には、前回申請した年金事務所に問い合わせることで、詳しい理由を確認することができます。
前回の申請時と矛盾しない再申請を行う
前回申請時の資料はデータとして日本年金機構に残っていますので、再申請を行った場合にはそのデータも再確認され再申請の手続きが進められます。
このことから、前回申請時に提出した書類(病歴就労状況等申立書等)の内容と矛盾しないように再申請を行う必要があります。
また、前回の申請時と異なる内容の再申請を行いたい場合にはその事実を証明する客観的資料(新たな受診状況等証明書)を提出する必要があります。
診断書作成時の注意点
再申請を行うためには新たに担当医師に診断書を作成してもらう必要があります。
一方で、前回提出済みの診断書と同じような内容の診断書を再申請時に提出しても申請が認められる可能性はあまり高くありません。
このことから、自身の現在のご病状を反映した内容の診断書を作成してもらう必要があります。
このため前回提出した診断書の写しを担当医師に見てもらい今一度再確認してもらうことや現在の病状を今一度担当医師に伝える等の工夫が必要になります。
まとめ
・障害年金の再申請は1年待たなければ行うことが出来ない場合があります。
・再申請時はまず不支給の理由を確認しましょう。
・前回申請の内容と矛盾しないように再申請を行いましょう。
・新たな診断書の作成は医師と相談しながら慎重に行います。
・再申請以外に審査請求、再審査請求、訴訟を行う方法がある。
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