障害基礎年金はほとんど全てのご病気がその対象となり精神のご病気も一部を除き障害基礎年金の対象になります。
目次
障害基礎年金の対象となる精神のご病気
うつ病をはじめ統合失調症、双極性感情障害、てんかん、知的障害、発達障害などほとんどの精神のご病気が障害基礎年金の対象となります。
一方で、パニック障害や強迫性障害、PTSDなどの神経症は原則として障害基礎年金の対象とはなりません。
神経症は障害認定基準で認定の対象とならないと規定されているからです。
神経症にあってはその症状が長期間持続し一見重症なものであっても原則として認定の対象とならない。厚生労働省障害認定基準
一方で、神経症の場合でも「精神病と同様の病態を示している場合」には、障害基礎年金の対象となる場合もあります。
対象となる病状
精神のご病気で障害基礎年金を受給するためには障害等級に該当する病状である必要があります。
障害基礎年金の場合は1級と2級しかなく障害厚生年金のように3級や障害手当金がありません。
このことから病状が2級以上に該当しない場合には、障害基礎年金を受給することができません。
障害基礎年金1級の病状
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。
この日常生活の用を弁ずること不能ならしめる程度とは他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
例えば、身の回りのことは辛うじてできるが、それ以上の活動はできないものまた行ってはいけないもの。
すなわち病院内の生活で言えば、活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活で言えば活動の範囲が概ね就床室内に限られるのである。国民年金・厚生年金障害認定基準
障害認定基準には、障害基礎年金1級の病状が上記のように定められています。
精神のご病気による障害基礎年金1級に該当するためには就労や日常生活に著しい支障が生じており、常時介助が必要な病状の場合に1級に該当する可能性があります。
障害基礎年金2級の病状
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活の極めて困難であって労働により収入を得ることができない程度。
例えば家庭内の極めて温和な活動を(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの。
すなわち病院内の生活で言えば、活動の範囲が概ね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活で言えば、活動の範囲が概ね家屋内に限られるものである。国民年金・厚生年金障害認定基準
障害認定基準では、障害基礎年金2級の病状は上記のように定められています。
ポイントとなる点は就労に支障が生じており、なおかつ日常生活にも著しい支障が生じている場合に障害基礎年金の対象となる点です。
うつ病の場合にはご病気の特徴から、就労が行える場合には、障害基礎年金の対象とならない場合があります。
一方で、知的障害や統合失調症などの場合には就労継続支援施設や一般企業で障害者枠などで就労している場合にも就労環境などによっては障害基礎年金を受給できる場合もあります。
障害基礎年金の受給
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
精神のご病気で障害基礎年金を受給するためには初診日において国民年金に加入している必要があります。
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の二種類があり、初診時において国民年金に加入していた場合には障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合には、障害厚生年金から年金が支給されます。
その他一般的な要件
精神のご病気により障害基礎年金を受給するためにはその他一般的な障害年金の受給要件を満たす必要があります。
一般的な受給要件としては初診日を客観的な証拠(受診状況等証明書等)により特定し、特定された初診日を基準に保険料の納付要件の満たしている必要があります。
また、障害年金は、初診日から1年6ヶ月を経過した日(障害認定日)以降に手続きを開始することができます(障害認定日の特例に該当する場合には該当する日以降)。
さらに、初診日が20歳前にある場合には20歳の誕生日の前日、20歳の誕生日の前日が初診日から1年6ヶ月を経過した日以前にある場合には原則通り初診日から1年6ヶ月を経過した日が障害認定日となり、その日以降に障害基礎年金の手続きを行うことができます。