難病もその病状により障害年金の受給対象となります。
難病の場合は治療が困難で長期間治癒しないまま経過する場合もあり経済的に困窮してしまう場合もあります。
障害年金は公的年金であり要件さえ合えば誰でも受給することが出来ます。
目次
難病とは
難病とは治療が困難で慢性化する場合もある厚生労働省が定めた疾病を言います。
難病という概念は時代とともに変化し特定の疾病を指す「病名」ではありません。
厚生労働省は難病の内、原因不明で治療方法の確立されていないものまたは後遺症のために社会復帰が困難になるもの、慢性化・長期化によって家族の経済的精神的負担が大きくなるもの、症例が少なく研究が進んでいないものなどに該当する疾病を特に「特定疾患」として定めています。
「難病」とは
(1)原因不明、治療方針未確定でありかつ後遺症を残す恐れが少なくない疾病
(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病 厚生労働省「難病対策要綱」より
指定難病
指定難病とは厚生労働大臣が難病医療法に基づき指定する疾病で原因や治療方法が明らかでなく長期間の療養が必要な難病の内患者数が人口の0.1%程度以下の疾病を言います。
【指定難病一覧】
あ
・アイカルディ症候群*
・アイザックス症候群*
・IgA腎症
・IgG4関連疾患*
・亜急性硬化性全脳炎
・悪性関節リウマチ
・アジソン病
・アッシャー症候群*
・アトピー性脊髄炎*
・アペール症候群*
・アラジール症候群*
・有馬症候群*
・α1-アンチトリプシン欠乏症*
・アルポート症候群*
・アレキサンダー病*
・アンジェルマン症候群*
・アントレー・ビクスラー症候群*
い
・イソ吉草酸血症*
・一次性ネフローゼ症候群*
・一次性膜性増殖性糸球体腎炎*
・1p36欠失症候群*
・遺伝性自己炎症疾患**
・遺伝性ジストニア*
・遺伝性周期性四肢麻痺*
・遺伝性膵炎*
・遺伝性鉄芽球性貧血*
う
・VATER症候群*
・ウィーバー症候群*
・ウィリアムズ症候群*
・ウィルソン病*
・ウエスト症候群*
・ウェルナー症候群*
・ウォルフラム症候群*
・ウルリッヒ病
え
・HTLV-1関連脊髄症
・ATR-X症候群*
・エーラス・ダンロス症候群*
・エプスタイン症候群*
・エプスタイン病*
・エマヌエル症候群*
・遠位型ミオパチー
お
・黄色靭帯骨化症
・黄斑ジストロフィー*
・大田原症候群*
・オクシピタル・ホーン症候群*
・オスラー病*
か
・カーニー複合*
・海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん*
・潰瘍性大腸炎
・下垂体性ADH分泌異常症
・下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症
・下垂体性成長ホルモン分泌亢進症
・下垂体性TSH分泌亢進症
・下垂体性PRL分泌亢進症
・下垂体前葉機能低下症
・家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)
・家族性地中海熱*
・家族性良性慢性天疱瘡*
・カナバン病**
・化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群*
・歌舞伎症候群*
・ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症*
・カルニチン回路異常症**
・肝型糖原病*
・間質性膀胱炎(ハンナ型)*
・環状20番染色体症候群*
・完全大血管転位症*
・眼皮膚白皮症*
き
・偽性副甲状腺機能低下症*
・ギャロウェイ・モワト症候群*
・球脊髄性筋萎縮症
・急速進行性糸球体腎炎*
・強直性脊椎炎*
・巨細胞性動脈炎
・巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)*
・巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)*
・巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症
・巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)*
・筋萎縮性側索硬化症
・筋型糖原病*
・筋ジストロフィー*
く
・クッシング病
・クリオピリン関連周期熱症候群
・クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群*
・クルーゾン症候群*
・グルコーストランスポーター1欠損症*
・グルタル酸血症1型*
・グルタル酸血症2型*
・クロウ・深瀬症候群
・クローン病
・クロンカイト・カナダ症候群*
け
・痙攣重積型(二相性)急性脳症*
・結節性硬化症*
・結節性多発動脈炎
・血栓性血小板減少性紫斑病
・限局性皮質異形成*
・原発性高カイロミクロン血症*
・原発性硬化性胆管炎
・原発性抗リン脂質抗体症候群
・原発性側索硬化症
・原発性胆汁性胆管炎
・原発性免疫不全症候群
・顕微鏡的多発血管炎
こ
・高IgD症候群*
・好酸球性消化管疾患
・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
・好酸球性副鼻腔炎*
・抗糸球体基底膜腎炎*
・後縦靭帯骨化症
・甲状腺ホルモン不応症
・拘束型心筋症
・高チロシン血症1型*
・高チロシン血症2型*
・高チロシン血症3型*
・後天性赤芽球癆*
・広範脊柱管狭窄症
・コケイン症候群*
・コステロ症候群
・骨形成不全症*
・5p欠失症候群*
・コフィン・シリス症候群*
・コフィン・ローリー症候群*
・混合性結合組織病
さ
・鰓耳腎症候群*
・再生不良性貧血
・再発性多発軟骨炎
・左心低形成症候群*
・サルコイドーシス
・三尖弁閉鎖症*
・三頭酵素欠損症**
し
・CFC症候群
・シェーグレン症候群
・色素性乾皮症*
・自己貪食空胞性ミオパチー
・自己免疫性肝炎
・自己免疫性後天性凝固因子欠乏症*
・自己免疫性溶血性貧血
・シトステロール血症*
・シトリン欠損症**
・紫斑病性腎炎*
・脂肪萎縮症*
・若年発症型両側性感音難聴*
・シャルコー・マリー・トゥース病
・重症筋無力症
・修正大血管転位症*
・シュワルツ・ヤンペル症候群
・徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症*
・神経細胞移動異常症*
・神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症*
・神経線維腫症
・神経フェリチン症*
・神経有棘赤血球症
・進行性核上性麻痺
・進行性骨化性線維異形成症*
・進行性多巣性白質脳症
・進行性白質脳症**
・進行性ミオクローヌスてんかん**
・心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症*
・心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症*
す
・スタージ・ウェーバー症候群*
・スティーヴンス・ジョンソン症候群
・スミス・マギニス症候群*
せ
・脆弱X症候群*
・脆弱X症候群関連疾患*
・成人スチル病
・脊髄空洞症*
・脊髄小脳変性症(多系統委縮症を除く。)
・脊髄髄膜瘤*
・脊髄性筋萎縮症
・セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症**
・前眼部形成異常**
・全身型若年性特発性関節炎
・全身性アミロイドーシス
・全身性エリテマトーデス
・全身性強皮症
・先天異常症候群**
・先天性横隔膜ヘルニア*
・先天性核上性球麻痺*
・先天性気管狭窄症**
・先天性魚鱗癬*
・先天性筋無力症候群
・先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症**
・先天性三尖弁狭窄症**
・先天性腎性尿崩症*
・先天性赤血球形成異常性貧血*
・先天性僧帽弁狭窄症**
・先天性大脳白質形成不全症*
・先天性肺静脈狭窄症**
・先天性副腎低形成症
・先天性副腎皮質酵素欠損症
・先天性ミオパチー*
・先天性無痛無汗症*
・先天性葉酸吸収不全*
・前頭側頭葉変性症*
そ
・早期ミオクロニー脳症*
・総動脈幹遺残症*
・総排泄腔遺残*
・総排泄腔外反症*
・ソトス症候群*
た
・ダイアモンド・ブラックファン貧血*
・第14番染色体父親性ダイソミー症候群*
・大脳皮質基底核変性症
・大理石骨病**
・高安動脈炎
・多系統萎縮症
・タナトフォリック骨異形成症*
・多発血管炎性肉芽腫症
・多発性硬化症/視神経脊髄炎
・多発性嚢胞腎
・多脾症候群*
・タンジール病*
・単心室症*
・弾性線維性仮性黄色腫*
・胆道閉鎖症*
ち
・遅発性内リンパ水腫*
・チャージ症候群
・中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群*
・中毒性表皮壊死症
・腸管神経節細胞僅少症
て
・TNF受容体関連周期性症候群
・低ホスファターゼ症*
・天疱瘡
と
・禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症*
・特発性拡張型心筋症
・特発性間質性肺炎
・特発性基底核石灰化症
・特発性血小板減少性紫斑病
・特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る。)**
・特発性後天性全身性無汗症*
・特発性大腿骨頭壊死症
・特発性門脈圧亢進症
・ドラベ症候群*
な
・中條・西村症候群*
・那須・ハコラ病*
・軟骨無形成症*
・難治頻回部分発作重積型急性脳炎*
に
・22q11.2欠失症候群*
・乳幼児肝巨大血管腫*
・尿素サイクル異常症*
ぬ
・ヌーナン症候群*
ね
・ネイルパテラ症候群(爪膝蓋骨症候群)/LMX1B関連腎症**
の
・脳腱黄色腫症*
・脳表ヘモジデリン沈着症*
・膿疱性乾癬(汎発型)
・嚢胞性線維症*
は
・パーキンソン病
・バージャー病
・肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症
・肺動脈性肺高血圧症
・肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性)*
・肺胞低換気症候群*
・バッド・キアリ症候群
・ハンチントン病
ひ
・PCDH19関連症候群*
・非ケトーシス型高グリシン血症**
・肥厚性皮膚骨膜症*
・非ジストロフィー性ミオトニー症候群*
・皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症*
・肥大型心筋症
・ビタミンD依存性くる病/骨軟化症*
・左肺動脈右肺動脈起始症**
・ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症*
・ビッカースタッフ脳幹脳炎*
・非典型溶血性尿毒症症候群
・非特異性多発性小腸潰瘍症*
・皮膚筋炎/多発性筋炎
・表皮水疱症
・ヒルシュスプルング病(全結腸型又は小腸型)*
ふ
・ファイファー症候群*
・ファロー四徴症*
・ファンコニ貧血*
・封入体筋炎
・フェニルケトン尿症*
・複合カルボキシラーゼ欠損症*
・副甲状腺機能低下症*
・副腎白質ジストロフィー
・副腎皮質刺激ホルモン不応症*
・ブラウ症候群
・プラダー・ウィリ症候群*
・プリオン病
・プロピオン酸血症*
へ
・閉塞性細気管支炎*
・ベーチェット病
・β―ケトチオラーゼ欠損症**
・ベスレムミオパチー
・ペリー症候群*
・ペルオキシソーム病(副腎白質ジストロフィーを除く。)*
・片側巨脳症*
・片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群*
ほ
・芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症**
・発作性夜間ヘモグロビン尿症
・ポルフィリン症*
ま
・マリネスコ・シェーグレン症候群*
・マルファン症候群*
・慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー
・慢性血栓塞栓性肺高血圧症
・慢性再発性多発性骨髄炎*
・慢性特発性偽性腸閉塞症
み
・ミオクロニー欠神てんかん*
・ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん*
・ミトコンドリア病
む
・無虹彩症**
・無脾症候群*
・無βリポタンパク血症*
め
・メープルシロップ尿症*
・メチルグルタコン酸尿症**
・メチルマロン酸血症*
・メビウス症候群*
・メンケス病*
も
・網膜色素変性症
・もやもや病
・モワット・ウィルソン症候群*
や
・ヤング・シンプソン症候群*
ゆ
・遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん*
よ
・4p欠失症候群*
ら
・ライソゾーム病
・ラスムッセン脳炎*
・ランドウ・クレフナー症候群*
り
・リジン尿性蛋白不耐症*
・両大血管右室起始症*
・リンパ管腫症/ゴーハム病*
・リンパ脈管筋腫症
る
・類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む。)*
・ルビンシュタイン・テイビ症候群
れ
・レーベル遺伝性視神経症*
・レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症*
・レット症候群*
・レノックス・ガストー症候群*
ろ
・ロスムンド・トムソン症候群*
・肋骨異常を伴う先天性側弯症**:平成27年7月1日施行 **:平成29年4月1日施行
難病による障害年金の受給
初診日の特定
初診日とは
障害年金を受給するためには初診日を特定する必要があります。
初診日とは当該病気によって初めて医師の診断を受けた日をいます。
病名が決定した日ではなく、何らかの症状が出て初めて医師の診断を受けた日が初診日となります。
難病の初診日
難病の場合には初めて症状が出て医師の診断を受けてから病名が決定するまでに長期間経過する場合があります。
また、正しい診断が行われないためにいくつもの病院を受診しなければならない場合もあります。
このことから時として初診日の特定が難しくなってしまう場合があります。
初診時の病院にカルテがない場合
一般的に初診日は初診時の病院のカルテに基づいて記載される受診状況等証明書(初診日の証明書)によって行われます(初診日の病院と現在受診している病院(または障害認定日の病院)が同じ病院の場合は受診状況等証明書は不要となります)。
一方、初診時の病院にカルテが残っていない場合にも2番目、3番目ないしそれ以降の病院にカルテが残っている場合でそのカルテに初診時の病院の受診日(初診日)や病院名が記載されている場合には2番目、3番目ないしそれ以降の病院に受診状況等証明書(初診日の証明書)を作成してもらうことで初診日の特定を行うことができます。
初診日が二十歳前の場合
また、難病の場合初診日が20歳前にある場合があります。
初診日が20歳前にある場合には初診時の病院にカルテが残っていない場合にも三親等内の親族以外の第三者2名に初診日に関する第三者の申立書を作成してもらうことで初診日の特定を行うことも可能となります。
障害認定基準の等級に該当する病状
難病といえどもすべての難病が障害年金を受給対象となるわけではありません。
障害年金を受給するためには、当該難病の病状が障害認定基準によって定められた等級に該当している必要があります。
難病の審査における認定は「総合認定」を行うと定められていますので複数の症状がある場合にはそれぞれの症状ごとに診断書を作成し提出することで1級から3級のうち該当する等級に総合的な判断のもと認定されます。
※併合認定の場合は3級の障害と3級の障害の2つの障害がある場合にも併合認定の上3級となってしまう場合が稀にありますが、総合認定の場合にはこのような場合にも2級以上に認定される場合があります。
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